「未来へのバトン」
三宝精機工業株式会社は、工作機械メンテナンスに突出した技術を持つエキスパート集団です。“もはや新しいものをどんどん作る時代ではない。ハイパフォーマンスよりロングライフを提案する”と掲げ、地球環境保護にも貢献されています。
今回は、金子一彦代表取締役社長に、サービス内容や社員・顧客への想いなどについて語っていただきました。
モノづくりの現場を支える『オーバーホール』
「当初は東京都大田区に工場を構えていましたが、1967年に横浜市戸塚区舞岡へ移転してきました。創業以降、工作機械のメンテナンスを通してモノづくりの現場を支えています。“加工精度が落ちてきたが、この機械があったから会社が大きくなった。新しい機械には変えたくない”“同じ機械を5台稼働させているが、1台だけ新型にすることで生産ラインが乱れるのは困る”“機械が故障したのでメーカーに見てもらったところ、純正の部品を生産していないので直せないと言われた。でも、使い慣れた機械を失いたくない”というような理由から、どうにかこの機械を再生して使い続けたいという要望が結構多くあるんです。当社の主軸である『オーバーホール』はそんな思いにお応えするサービスで、機械をばらして故障の原因などをチェックし、再度組み立てて機械を再生させ、ロングライフ化させています。再利用という側面から、『地球環境保護』という点も意識しています。
1960年代の旧型工作機械などもありましたが、職人の技術や経験を駆使して従来通り使えるようにしてきました。メーカーなどは問いませんので自動車の修理工場をイメ―ジしていただくと分かりやすかもしれません。新型工作機械は新しい機能が追加されて使い勝手が向上している一方で、旧型にはあった機能がなくなっているケースもあります。とある会社ではその機能が重要だったりすることもあるわけで、そういった意味でも既存の機械を再生させる『オーバーホール』は、モノづくりの現場ではなくてはならない技術だと思います」
新しい機能を追加する『レトロフィット』
「“操作方法は変えたくないけれども、もう少し効率よく稼働させたい”というような要望もあります。当社では、機械本体そのまま使い続けていただき、内蔵されている電気系だけを取り替えて、制御部分をブラッシュアップするという対応もさせていただいております。さらに、機械を搬入しなくてもシミュレーターによってNC化(numerical control の略。コンピュータが主流でないころは、CNCと呼ばれていたが、現在は数値制御全般をNCと呼んでいる)の要件を分析・把握できるので、工作機械を搬入していただかなくても、変更ができるようになっています」
ロボットを活用したシステム提案も
「人手不足を解消するために、ロボットを使ったシステムの提案なども行っています。繰り返す作業は、人間よりもロボットのほうが得意ですし、長期的に見れば導入によって人件費をおさえることもできます。閑散期などはロボットはストップさせればいいですが、人を雇用したら“今日はこなくていいので、その分給料から引きます”なんてことはできませんし・・・人間しかできないこと、ロボットでもできることをすみ分けることで、メリットが生まれるのではないかなと思います」
チャレンジ精神や高い技術を持った社員を大切に。地域貢献活動やBCPにも尽力。
「初めて直す工作機械も多く、1つ1つが挑戦です。大手企業や公的なところからの依頼も多く、みんなプライドを持って取り組んでいます。当社にとって、どんな機械でも挑んでいく、チャレンジ精神を持った職人の技術と経験は貴重な財産です。これらは一朝一夕で備わるものではないので、辞められると痛いというのが正直なところですね。
それから、「きさげ技術」というのがあって、機械加工によって実現することは困難な超高精度平面(1/1000mm)を人の手によって作り上げる匠の技があります。機械ではできないこの技を次世代に継承していきたいです。
社員を大切にしたいので、従業員ひとりひとりが意見を言いやすい環境づくりについては常に注力しています。上司や取締役が一方的に人事評価をしておしまいではなく、面談では従業員の意見を積極的に聞くようにしているんです。
また、2011年に代表取締役の就任以来、顧客満足度をいかにアップさせるかということも大切にしています。時には短納期の仕事もあるのですが、従業員もその点を理解して頑張ってくれたことで、お客様にも喜んでいただいています。10年先、20年先もこの点をぶれずに続けていって、テリトリーを広げたりアジア圏に進出したりしたいですね。そして『オーバーホールを頼むなら三宝精機工業しかない』と言われるような企業になっていきたいです。
当社は、地域貢献活動にも力を入れていて、敷地内にあじさいや桜の木を植えたり、通学路の雪かきなどをやったりしています。地域に愛される企業を目指して、これからも邁進していきたいです。
それから、大地震にが起きたときにお客さまや社員の安全を守り、被害を最低限に抑えられるようBCP(事業継続計画)を策定しています。目先のことだけでなく、常に広い視野で企業活動を考えていたいですね」
金子一彦 代表取締役社長
「両親の影響もあって、幼少のころからスキーをやっています。
インラインスケートやスケートボードも得意です。
最近、土日の過ごし方はジム通いが定番。掃除や片付けも好きなのですすんでやっています」
モノを作り出すという仕事につくのであれば、興味をもって取り組む人が増えないと新しいものは出てこないと思います。 とにかく、パソコンに向かうばかりでなく現場での経験を積んでもらいたいです。そして、本質を楽しんで仕事を続けていってほしいと思います。
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戸塚区矢部町出身。20年勤めた不動産情報サービスの会社を退職後、泉区にて広告代理店を開業し現在は中区に移転。デザインや企画はもちろんのこと、編集や取材・文章作成も得意としている。不動産関連の執筆や取材は自ら行い、知識やトレンドを蓄積。初心者にも分かりやすい文章作成を心がけている。
横浜市工業会連合会 戸塚泉栄工業会 未来づくりプロジェクト実行委員。
【実績】大手ディベロッパー、東京都・横浜市・川崎市・平塚市など自治体発行物の制作・編集。みずほ不動産販売株式会社HP、みずほ銀行・みずほ証券会員向けメールマガジン、電鉄系買取専門会社HP、不動産管理会社の定期発行新聞など連載記事多数。企業や団体、個人などのチラシ・パンフレット・名刺・Tシャツの作成実績もある。
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